人が人でなくなる瞬間

人が人でなくなる瞬間

今回は、落合陽一先生とシェイン・グウ氏の対談から私が感じたことを書きます。

最終的な問題的は、「あなたは今、生きていますか?」です。

もっというと、「あなたはマトリクスの世界に行きますか?それとも畑を耕しますか?」です。

なんのこっちゃ?

もしそんな感情を抱いた人は読んでみると面白いかもしれません。

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生成系コンテンツは手段コストの削除

それでは、この動画の内容を拾いながら話を展開していきますね。

OpenAIが開発している主なジェネレーティブAIは下記のようなもの。

  • チャット「ChatGPT」
  • 画像「DALL-E2」
  • 音楽「Jukebox」
  • 音声認識「Whisper」
  • 3Dモデル「Point-E」

もちろん他にもたくさんのAI技術とくに生成系が誕生しています。つまり、今までは人間が手を使って物を描いたり、時間をかけて調べていた部分をAIに投げれば自動で回答がなされるということです。

特に、最近注目を集めているチャット「ChatGPT」は質問をチャット形式で投げれば、自動で数秒以内に回答が出てきます。例えば、学校の宿題で出される数学の問題をChatGPTに投げれば、すぐ解答が出てきたり、論文を書いてと頼んだら書いてくれたり。YouTube動画を見ることなく、勝手にその動画を要約してくれる時代です。今まで人間が手と頭を使って解決していた「手段・方法」を数秒で解決してくれるんです。驚きです。

とっても楽です。だって丸投げすれば勝手に、しかも正確に回答してくれるんですから。

しかし、これには良い面、悪い面があります。しかも、すごくやばいことだと私は感じています。一つ目の良い面からいきましょう。

良い面

今まで私たちは、困ったらエゴサをしていました。「ググる」という言葉に代表されるように、いちいち調べてどれが最適なサイトだろうってエゴサしまくって解決していたんです。これって結構面倒だと思いませんか?でも、ChatGPTがあれば、それを省略できます。調べる時間を省略できます。

今後、さらにこんなこともでき始めるでしょう。例えば、人が日々の生活の中で困ったこと、助けてほしいことがあったら、それを言葉に発し、それをスマートグラスもしくはAIが埋め込まれたコンタクトをつければ目の前の視界に文章として解答が見える。もしくは、英語が話せない聞き取れない人でも、このデバイスをつけておけば(埋め込んでおけば)、相手の英語が自動翻訳され、脳波、AIデバイス骨伝導を利用し、耳に声で、その翻訳が届く。そして、返答もこれを話したいと”思った”だけで自動で目の前の視野に英語の文章が見える。あとはそれを発するだけ。声に出さなくても電波で会話できる。

つまり、ありとあらゆる「手段・方法」が全部自動化される利点もあります

しかし、これはやばいとも言えます。

悪い面

思考の断絶です。「人間が考える手段・方法の全てのことはGoogleサイトに記載されている。あとはその情報にアクセスできるかどうか?」人は、無限の思考力を持っているとされています。しかし、これいいアイデアだなと思って色々調べると、世界の誰かが同じようなことをしていた。よくあるパターンです。この場合、それは「手段・方法」についてです。この手段と方法を完全にAIに投げることができるということです。

しかし、目的は人それぞれ違うわけです。その手段・方法を使って何をしたいのか?目的は人の数だけあります。AIというのは平均化された情報群でもあります。一般的な回答を教えてくれるわけです。それをそのままやったら平均化されたものしか生み出さないとも言えます。

よく手段と目的を履き違えるな!と言われます。この通りです。あなたは手段を目的にしていませんか?私たち人間は手段ではなくその先の目的、得たい感情を求めていませんか?

「いや、俺は手段のためにやっているんだ。それでいいんだ」となった場合、「人が人である理由はあるのでしょうか?」

映画「マトリクス」のようにAIによってコントロールされていいのでしょうか?

人には感情があります。同じ事象を見ても、人それぞれ受け取り方は違います。同じ「嬉しい」という気持ちでも人によってその大小、微妙な受け取り感覚は違います。これが人を人たらしめる理由です。それを全部なしにしてAIに丸投げしよう。そんな気がしてなりません。

メタバース世界もそうですね。メタバースは、体と意識を離して、意識だけメタバースに移行させる。これは本当「マトリクス」の世界。

現実になろうとしています。

AIにより「手段・方法」の省略は可能です。しかし、我々は得たい感情を手放してはいけないのです。そして、その得たい感情は、手段・方法が同じでも人によって全然違うのです。それが人を人たらしめる理由です。

シェイン・グウ氏が分析する時代区分 それぞれの時代の「リーダー」

AIによって手段方法が自動化されます。つまり、数学者、物理学者、エンジニア、英語習得者など専門的な技術的、言語的知識がない人も彼らと対等に勝負できる時代になったということです。

日本は島国です。他の国と違い、他国と国境を面していないからこそ独自の思考回路があります。それは、「侘び寂び」「鈴虫の鳴き声が騒音でなく音楽に聞こえる」。この「クリエイティブさ」が他国と全然違うのです。

茶道、漫画もそうですよね。

日本独特の文化とも言えるでしょう。その大前提に立って、うまくこれらのテクノロジーを使いこなす側に回りましょう。私は、これを言いたいですね。AI社会の波は止まりません。今後、二次曲線のように幾何級数的に伸びていきます。その社会で、使われる側ではなく、使う側に回ろうと。

私はPBLや探求という視点で学生さんと一緒に商品開発してます。このAI技術の到来によって手段・方法は全て自動化されます。つまり、「商品を作るための〇〇」だけなら自動化されるということです。プロジェクトを走らせる意味がなくなります。人が人たらしめる理由は、感情です。感情なきプロジェクトはなくなります。

私は、「感情」に焦点を当ててます。心理学・哲学っぽくなります。だって「感情」に焦点当てると、行き着くところ「人とは何か?」ってところに辿り着くからです。

つまりこれは、非言語の世界。ノンバーバルな世界です。ここで勝負したいよね。だってあとはノーコードで自動でやってくれるんですから。

 

最後に、AI社会において最も重要なことは「質量のある体験」です。

これはこの動画を見てください。

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この動画を見て、ある体験を思い出しました。

・・・

実は、八重洲ブックセンターが2023年3月に閉店します。
思い出深い書店だったな。なぜこれが重要か?私は赤坂見附から財布とスマホを持ってグーグルナビ頼りで、電車に飛び乗り、数分後、東京駅を手ぶらで歩き、ブックセンターへ。
お目当ての本を蔵書検索し探すも見つからず、店員に聞き、無人レジで購入する。その本を手に持って、東京駅に入り乱れる無数の人間と違う方向に小走りに歩き始める。
電車に乗ってその本を広げ、読み始める。これをやっているのは東京駅で私だけ。
そして、その本が今、私の黒木の家の本棚にある事実。この本を見るたびに、この一連の行動が思い出される。これこそ「付加価値化された本」ということ。Amazonポチれば終わり。
でもあえて本屋に行く。あえて店員に話しかける。
あえて、スマホ人間達で溢れる電車内で本を広げる。
馬鹿馬鹿しくはない。
ぶっちゃけて言うと、これが私の人生の縮図。
メタバースとリアルの中間を攻めている事実。

人が人たらしめる理由もここに隠れていそうです。

 

一緒にやりません?

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